映画「BLAME!」感想

遠い昔、機械が暴走したそうです。
機械は建物を作り、また建物を作り、ひたすら建物を作り、とにかくどんどん建物をこしらえていき、建物は上に伸び下に伸び、横に広がり、地球を覆いつくし、宇宙を覆いつくし、太陽系を覆いつくし、もはや地表と呼ばれる場所がどこにあるのかさえわかりません。
建物を守る機械は、人間たちを、建物への違法居住者として殺すようになりました。
現在、人間という生き物は蟻くらいの扱いでしかなく、数も減りました。
果てしない建造物宇宙のどこかに、いろんな小集団があるだけです。

 

ある人間の村が、食糧危機に陥っていました。
子供たちは勝手に食糧採集に出かけましたが、敵ロボットに見つかってしまいます。
なんかめっちゃキモい大量のロボットが、わらわらと襲ってきます。とにかくキモい。
危機に陥った彼らですが、通りがかりの旅人に助けられます。

 

旅人は名を『キリイ』と名乗ります。
虚無的な雰囲気のイケメンで、めちゃくちゃすごい銃を持っています。
彼は『ネット端末遺伝子』なるものを探しているそうです。
子供たちはそれを持っていませんでしたが、村の大人がなにか知ってるかもしれない。
子供たちはキリイを村に連れ帰ります。
そして老人の説明を受けます。それによると。

 

ネット端末遺伝子は、大昔の人間が持っていたもの。
それがあると、人間は機械の暴走を止められる!
まあ夢のような話なわけです。
それを語った老人は、どこでそんな話を聞いたのかというと、村の下のスペースだそう。
キリイはそこに向かいます。そして……。

 

ってなわけで、BLAME!の世界に、シンプルなストーリーをくっつけて、わかりやすくしてあります。
そもそもBLAME!のストーリーって、

 

「霧亥がネット端末遺伝子を探す」

 

だけですもの。
巨大構造物が主役で、霧亥はそれの案内人みたいなかんじでした。
だからあの、とにかく無限に広がる構造物の世界を見られればいいなあ、と思いつつ、映画館に出かけました。
結果、おもわぬ副産物というか。
霧亥が異様に格好良かったり、重力子放射線射出装置の爽快感が異様にすごかったり、シボの安心感が異様だったり。
そういう、映画化されて良かった点がいっぱいありました。
あと、霧亥を踏むサナカンに萌えました。

 

逆に不満な部分も有ります。
世界があんまり絶望的じゃない。明るくて、移動距離が短くて、空が近くにあるような印象を受けました。
サナカンが可愛くていやでした。人が好意を持つことを一切ゆるさないような、厳しい雰囲気がありませんでした。

 

とはいえ、やはり、完璧ではないにしろ、あの世界っぽいものを見せてもらえたのは嬉しいです。完全でなくとも近いモンはあった! だいぶ近かった!
嬉しかったです。