「花丸」第六話 感想

注意! 今回、厳しい評価です。6話が好きな方は読まないほうが良いです。ご注意を。

 

 

 

苦痛でした……。私は「ミュージカルを見ると恥ずかしくなる病」を発症しているため、非常に苦痛でした。それでもふだん、恥ずかしさを吹き飛ばされて、ミュージカルに感動する時というのはあって、それは名画「雨に唄えば」とか、歌と音楽と世界への賛美がすさまじいような作品を見た時なんです。作り手の本気は、観客の戸惑いなど吹き飛ばします。


で、刀剣男士がミュージカルをやったら面白いだろうなあ、という軽い発想なのは分かるのですが、それがコメディやパロディとして成立するためには、事前に、

 

※男士たちは絶対にミュージカルなどしない人物である

 

という説明か、逆に、

 

※男士たちにはミュージカルをしたくてたまらない理由がある

 

という説明が必要だと思うのです。それが無かったですね。
なので、普通に歌うまいから、音痴を笑うわけにもいかず。アニメの世界において、食べ物作りをテーマにした歌なんてありふれていますから、歌のおかしさを笑うわけにもいかず。有名ミュージカルのパロディというわけでもなさそうだし、雰囲気だけは何かに似せてあるっぽいですが、なにを茶化しているのかもわからない。格好良いとも、可愛いとも、美しいとも思えないので、なにを楽しめば良いのかが分からない。
厳しいようですが、青臭い学生演劇を見せられているような気分になりました。恥ずかしかったです。

 

どうも花丸はギャグが半端でイカンと思います。
やるならとことんやれよ! と思います。タカラヅカをも超えるほどに華と花が吹き荒れた世界を見せてほしかった。あるいは、出来たうどん玉を高々と掲げ、うどんの殿の誕生だ! ハーヘンニャラ~とアレを感動的に歌い上げるサマが見たかった。そういう、プロにしかできない技が見たかったんです。
某アニメはパロディシーンが多くて人気があるそうですが、おそらく半端なパロはしてないんじゃないでしょうか? 本気のパロだからウケてるのでは。本気をぶつけてくれる、気概を感じさせてくれるって、大事だと思うのですよ。視聴者として舐められてないな、大切にされているな、と思えるから。

 

後半は好きだなあ。
博多のバブル期ビジネスマンのような言動は、ゲームでもそうだから違和感がないし、なんといっても可愛い。さわやか筋肉青年な山伏が、博多連続遠投を天丼で見せてくれたのも楽しかったです。二人のデコボコっぷりの落差と、それにもかかわらず同一である健気な意志は、ふつうに好ましく感じました。
御手杵20キロの豆知識は嬉しいし、大柄ゆえのどん臭さもいかにもってかんじで、可愛さを感じつつ許容できました。彼、なんかドジっぽいイメージが沸きますよね。なんででしょうね。
陸奥守は健全で優しくて、好奇心旺盛だと示されてるから、虹のきらめきも彼らしく感じられて笑いました。そして陸奥守の正しさ! 竜馬っぽさ! これが最後の大和守安定の悟りにも繋がるんですよね。いい展開です。

 

石切丸のお払いも、前田のお手紙も。やはりキャラのキャラらしさを示しつつネタにしてくれると、安堵と、ほっこりした笑いがこみ上げてきます。なのに前半は、長谷部とうどん関係ないもんなあ。燭台切の料理名人っぷりや、青江の味見は分かりますが。

 

エンディング曲のほうが、ミュージカルネタっぽい楽しさがあったと思います。